カンマと記号について

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カンマ

日本語の読点もそうですが、カンマは文を読むうえできわめて重要なのに、注意を払われることが少ないようです。ここでは、準則と考えられている点を整理してみます。


カンマの意味

  • (1)挿入: 句、または節の形で、文の主要要素の間に入る。カッコで括って考えるとよい。
  • (2)言換え: 前言と同じ偉さ(格)で、言換えたり、敷衍したり、詳細に述べたりする。
  • (3)文の区切り: 句、節、文などを区切る。(6)と区別しにくいことがある。
  • (4)関係代名詞の非制限用法: 先行詞の属性を述べる。
  • (5)並列・列挙: 並列のandと共に用いるカンマ。
  • (6)読点の代わり: 掛かり方を分りやすくする。除いてもよい場合がある。
  • (7)付加的に続ける: 前の部分で意味は完結しているが、さらに補足する。
  • (8)andの代わり: リズムを生み出す。文体を締める。
に分けられる(分類は著者の恣意的なもの)

易しい文例

(1)挿入

He was, as a matter of fact, pretending to be ill.
*二つのカンマの間をカッコでくくって考える。
「彼は実は、仮病だったのだ。」


(2)言換え

Here is Mrs. Martin, the new English teacher.
*Mrs. Martinと the new English teacherは同じ人物
「新しい先生のマーチンさんです。」


(3)文の区切り

If you are ever in Tokyo, come and see me up.
*if節と帰結節を区切るしるし
「東京に来たら、訪ねてきてください。」


(4)関係代名詞の非制限用法

I sent it to Jane, who passed it on to John.
*whoの先行詞はJane
「ジェーンに送ると、それをジョンに廻した」


(5)並列・列挙

We think about our faces with vanity, resignation, anxiety, and the unease brought on by self-consciousness.
*vanity以下4つの名詞が列挙され、並列している
「誰もが自分の顔に思いを巡らす。かっこいいとか、いやダメだとか、どうなんだろうとか、自意識が邪魔してうまく考えられない、とか。」


(6)読点の代わり

The four activities call for constant, preferably daily, exercise.
*dailyのあとのカンマはconstantとdailyが等しくexerciseに掛かるのをはっきり示す。
「これらの四つの活動は絶え間ない、できれば日々の訓練を必要とする。」


(7)付加的に続ける

They act upon a species of instinct, really a code of conduct.
*カンマの前までで文意は完結している。それに補足する情報がカンマ以下で示される。文の構成要素としてはS、V、O、Cの類別に入らない副詞的修飾語
「彼らは一種の本能にしたがって行動する。まるで行動規範でもあるかのように。」


(8)andの代わり

The protective, kindly figure has been replaced by a dangerous and destructive creature.
*性質・形状を示す形容詞の並列ではカンマがandの代わりをする。dangerous and destructiveは、似た意味とdの音を重ね臨場感を出す対語。
「自分を守ってくれる優しい人物が、ひとに危害を加える獰猛な生き物に成り変っていたのだ。」


理解を深める

(1)挿入

Very soon, I say to myself, or tomorrow or when I feel it.
*I say to myself「心のなかで言ってみる」が、中間話法のしるしとなっている。orが反復して使われているのは言い換え。

Very soon, (I say to myself), or tomorrow or when I feel like it.と挿入部分をカッコで括って考えると分かりやすい(特に、複雑な構文の場合)。以下の例も同じように考える 「自分に言い聞かせる。今すぐ、いや明日になったら、いやその気になったらと。」


Real patriots, who may resist the intrigues of the favorite, are liable to become suspected and odious.

*これは関係代名詞の非制限用法と主部終了のカンマだが、便宜的にカンマで挟まれた部分をカッコで括って考えると文構造が掴みやすい。the favoriteは、ここでは「民衆お気に入りの外国」

「真の愛国者は、民衆に人気のある外国の陰謀にも抵抗するものであり、そのため不信を抱かれたり憎まれたりしがちだ」


I prefer, at any rate during my first few visits, to be a thoroughly unintelligent tourist.
*二つのカンマの間が挿入句
「少なくとも最初のうちは、全くものを知らない旅行者でいたい。」


We followed him back to the main street where we had first met him, and we watched him as he proceeded, with no trouble at all, to exchange his new umbrella for another pound note.

*proceed to exchange の付帯状況がwith no trouble at all(取り掛かって、雑作なく、to以下の結果を生む)。

「その人の後をつけていくと元の通りにでました。ずっと見ているとその人、なんの雑作なく新しい傘でまた一ポンドをせしめたのです。」


(2)言い換え

The best is not good enough for one who has standards, who knows precisely what he wants and insists on getting it.

*standardsを持つ人の内容を、カンマ以下で具体的に示している。「すなわち」といった感じ。the bestは最上級の譲歩「どんなによいものといえども」

「自分の価値基準をもつ、つまり何としても手に入れたいものがある人にとっては、どんなにすばらしいものでも充分満足できるとは限らない。」


In 1818, a women’s rights convention, the first in the history of the world, was held at Seneca Falls, New York.

*women’s rights は形容詞的に(a)conventionに掛かる。第一のカンマは句の区切り、第二のカンマは補足して言い換え、第三のカンマは主部が終わるしるし、第四のカンマは固有名詞の区切り。

「1848年、世界初の女性の権利に関する会議が、ニューヨーク州、セネカフォールズで開催された」


But this has nothing to do with economic liberty, the right to exploit others for profit
* カンマはeconomic libertyを具体的に言い換えている。
「だがこれは経済的自由、即ち利益のために他人を搾取する権利とはなんら関わりはない」


She is a suspicious person, my mother.
*my motherはShe の言い換え
「母さんって、疑り深い人なんです」


I laughed, but all three of them, Lord Turton, Major Haddock, and Camen La Rosa had already turned away and were settling themselves back on the sofa.

*all three of themが、カンマ以下で具体的に示される
「私は笑ったが、彼ら三人、タートン卿とハドック少佐とカーメン・ラ・ローザはもう向き戻ってソファに身体をあずけようとしていた」


Tomorrow, I will be going to Rome, the capital of Italy.
「明日、イタリアの首都、ローマに行きます」
*前のカンマは文頭の時間を表わす副詞のしるし、後のカンマはRomeを具体的に説明するしるし


In the beginning, when I first came to the vicarage, I didn’t have too bad a time.
*前のカンマはIn the beginning=when I first came to the vicarageのしるし、後のカンマはこの文頭の副詞句が終了し、本文のI didn’t以下に掛かるしるし
「牧師館に来た最初の頃は、そんなにひどいことは起こらなかった。」


(3)文の区切り

Because the behaviour of others is similar to our own, we surmise that they are like us.
*従節と主節を区切る。
「とる行動が似ているから、その人が自分に似ているのではと推測する。」


And the earlier and more thoroughly this lesson is learned, the better it will be for his peace of mind and success in life.

*比較構文での前後の節を区切る
「この教訓を学ぶのが早ければ早いほどまた深ければ深いほど、心は安らぎ人生での成功につながるのである。」


(4)関係代名詞の非制限用法

Her husband, who is living in London, often writes to her.
* 前のカンマはhusbandをwhoの先行詞とする非制限用法のしるし、後のカンマは主部終了のしるし
「夫はロンドンにいて、よく手紙を寄こす」


(5)並列・列挙

There were various kinds of musical instruments such as violins, clarinets, and trumpets.
*instrumentsの具体例が三つ列挙されている
「バイオリン、クラリネット、トランペットといった楽器がたくさんあった。」


(6)読点の代わり

And whoever does not exert himself until he has a large power of carrying out his good intentions, may be sure that he will not make the most of the opportunity when it comes.

*カンマは主部が終わるしるし。exert oneself 「努力する」。itentionsの複数(-s) は、不可算名詞の可算名詞化で、ここでは善意の具体的な姿がイメージされている。may と推量しているのは文の筆者。itは文中で問題になっているもの、ここでは漠然とした状況を指す 「だから慈善を実行に移すのに充分な力がつくまではといっていま力を尽くそうとしない人に、機が熟してもやるべきことをできる筈がないのである。」


No man wholly escapes from the kind, or wholly surpasses the degree, of culture which he acquired from his early environment.

*前のカンマはwholly escapesと wholly surpassesを並列させるしるし。後のカンマは of がその並列に等しく掛かってゆくのを示す。no=not any と読み替えるとわかりやすい。Any man does not wholly escape 〜( not wholly:否定語+程度を示す副詞=部分否定) 「どんな人でも幼い頃の環境で得た文化の型をすっかりのがれたり、その程度を完全に超えることはない。」


(7)付加的に続ける

In the midst of it you can see nothing but this wall, winding on into the distance.

*nothing but =only 。windingは現在分詞の形容詞。「くねくね曲がっている」。カンマの前までで文意は完結するが、説明を加える。onは副詞で「どんどん」といった感じ。 into は方向を示すのであって、「…の中へ」ではない
「その只中をうねうねとはるか彼方へと続くあの防壁だけしか目に入らない。」


A man thinking or working is always alone, let him be where he will.
*let one be 〜「人が…しようとも」。カンマのあと条件を加えている
「どこにいようと、考えるのも働くのもしょせんはひとり。」


We are all being judged, and generally very unfavourably judged, on evidence which, if we knew it, would greatly astonish us.

*最初のカンマは「しかも」と続ける付加で、二番目のカンマは理由を付加するカンマ(最初のカンマは二番目のカンマとともに挿入句のしるし、ともとれる)。三番目と四番目のカンマは挿入のしるし

「誰もが皆周りの評価を受けており、それも自分が知ったらとんでもないと驚くような理由づけで値踏みされている。」


(8)andの代わり

It is not commonly brilliant, too often it is lamentably deficient.

*=It is not commonly brilliant and it is lamentably deficient too often.
「それは必ずしも優れているわけでなく、哀しいほど出来が悪いことが多い。」


Spaniards are cruel to animals, Italiens can do nothing without making a deafening noise, the Chinese are addicted to gambling.

*andを省いてリズムを出している
「スペイン人は動物を虐待する、イタリア人は事あるたびに騒ぎ出す、中国人は賭博に目がない。」


A country is as strong really as its citizens and I think that mental and physical health, mental and physical vigor, go hand in hand.

*reallyは文修飾で強意(実に、本当に)。mental and physical healthと mental and physical vigor は言い換えでなく並列(goesとなっていないことに注目)。あとのカンマは主部が終わるしるし

「一国の強靭さはその国民と軌を一にしています。健全な精神と肉体は、活力ある精神と肉体と表裏一体であります。」


[記号]

何でこんな簡単な規則を学校では教えないのでしょう。知らなくても英文を読むことは読めるが、もどかしさが残るはずです。正しく理解することで訳文に明晰さが生まれる記号のルールをいくつか挙げます。


・記号の意味
(1)セミコロン;
・比較・対照・敷衍のしるし
・大きなandのしるし
(2)コロン:
・以下詳細のしるし
(3)カッコ(××) ダッシュ―××― カンマ, ××, *二つ
・いづれも挿入のしるしだが、長い挿入だとダッシュが使われることが多い
(4)ダッシュ― カンマ, *一つ
・いずれも付加のしるしだが、ダッシュは列挙総括でも使われる
(5)ブラケット[ ]
・引用文中に書き手が自分の説明を入れる。( )内のカッコとしても使われる
(6)斜体
・作品のタイトル(日本語では『』とするのが正式)
・乗り物の愛称
・外国語系のことば
・強調・個人の意識・想像・思い起こした会話など
(7)ハイフン-
・複合語のしるし
(8)クオテーション・マーク “××” ‘××’
・日本語のカッコ「××」→『××』の規則に対応して、米式で“××”→‘××’、英式で‘××’→“××”
・後ろのクオテーションがないのは、話を端折ったしるし
・言葉の強調にも用いられる
(9)ドット …
・引用の一部省略、発話の中止
(10)語頭の大文字
・固有名詞化

易しい文例
(1)セミコロン
比較・対照:I like swimming; my sister hates it.
(流れ次第でand, butと読める)
敷衍:I don’t want to go; besides, I’m too tired.
(流れ次第でso, forと読める)
大きなandの代わり:It is going to rain and snow; it is getting dark.
(普通のandとの紛らわしさを避ける)
(2)コロン
詳細:This is what you should do: go home right now.
(3)カッコ、ダッシュ、カンマ(前後) *意味は同じ
My mother (who rarely gets angry) really lost her temper.
My mother―who rarely gets angry―really lost her temper.
My mother, who rarely gets angry, really lost her temper.
(4)ダッシュ、カンマ(一つ)
He’s very ignorant―or incredibly careless.(付言している)
(5)ブラケット
the upper age brancket[bracket](誤字訂正)
(6)イタリック
Othello Titanic cogito ergo sum(作品名/船名/ラテン語)
You did it.(「やったんだろ」といった感じ)
(7)ハイフン
deep-rooted(深く根を張る:副詞deepと過去分詞形の形容詞rootedの結びつきを強める)
popularly-governed(=governed by a lot of people。大衆が統治する→民主国家、と読む)
(8)クオテーション・マーク
The actor said “It was when I began to speak my part,‘My heart leaps up, … ”
(台詞と、その中の台詞)
“He’s been working hard.
“Blumberger’s been buying the bread here.
(後につづく言葉が省略されている)
What is the English word for “Suimasen”?
言葉の強調:「スイマセンに相当する英語は何ですか」
(9)ドット
Kennedy said, “And so, my fellow Americans… ask what you can do for your country.”
(話の中間が省略されている)
(10)大文字
Several surviving English garden from the 18th century illustrate this European tradition of Classical allusion and meaning.
(ClassicalのCの大文字が「古典古代」の意味であることを念押し)

理解を深める

(1)セミコロン

He reverences Jones because he takes 7 1/2; he dismisses Smith as of no account because he only takes 6 3/4.

*態度の違いを前後で強く対比させている。of no account=unimportant
「この男は帽子のサイズが7 1/2あるからといって人を敬い、6 3/4しかないからといって別の人を歯牙にもかけない。」


Because the behaviour of others is similar to our own, we surmise that they are like us; it is a shock to discover that they are not.

*思い込みとその結果を対比させている。our own=our own behaviour
「とる行動が似ているからその人が自分に似ているのではと推測するが、そうではないと分かりショックを受ける。」


(2)コロン

England was under the Roman for four centuries: and England is full of Roman remains.

*後半は前半から導かれる細目
「イングランドは4世紀にわたりローマの支配をうけており、あちこちに当時の遺跡が見られる。」


My question: to die or to live.

*コロン以下が内訳になっている
「私の疑問。生と死。」


There was a time when we were not: this gives us no concern.

*前半部を補足。wereは存在を示す
「我々が存在しない時代もあったが、そう考えても別に悩みはしない。」


(3)カッコ、ダッシュ、カンマ(前後)

Indeed, one of the ways in which Americans are able to distinguish Japanese tourists from other Asians (who all look alike to the American eye) is that the Japanese are the ones who are always taking pictures.

*the ones = one of Asians。be always takingに、いつも…ばかりして、の非難が感じられる

「実のところ、アメリカ人が日本人旅行者をほかのアジア人(アメリカ人には区別がつかない)と見分けるのに、いつでも写真を撮っていればそうだ、というのがある。」


(4)ダッシュ、カンマ(一つ)

How are those powers used―how is that estate employed?
*例がひとつで足らず、さらにもうひとつ付け加えている
「そういった能力をどのように使うのか、その土地をどう活用するのか?」


Many a person spends a month’s earnings in a fortnight at a south-coast resort, and envies the folks who can go abroad―when, for that same money, he or she might have been among the Alps, or at Venice.

*このwhenは同時性だが、ダッシュにより前後の節が対照されるものであることを示唆している。

「南海岸の保養地などで十日ばかり過ごすのに月給分を使い果たし、外国旅行できるひとをうらやむ人も多い。それだけの金を使えばアルプスとかベネチアに行けたはずなのだが。」

(5)ブラケット

The high [low] income bracket
*ことばが入れ替え可能の意味
「高(低)額所得者層」


(6)イタリック

Imagine, for example, a Romeo and Juliet or a King Lear with a happy ending.
「例えばハッピーエンドの『ロミオとジュリエット』や『リア王』を想像してみよう。」


‘But you must have supper. I can easily do it here!’
*食べなきゃだめ、という気持ちが斜体で表現されている
「でもお食事はしなきゃ。すぐここでできるわ」


(7)ハイフン

They have a horror of abstract thought, they feel no need for any philosophy or systematic ‘world-view’.

*「世界の見方」といった意味を、結びつきを強くして「世界観」といった感じにしている。クオーテーションは「所謂」の意味
「彼らは抽象的な思考は毛嫌いするし、哲学的・体系的「世界観」の必要をつゆ感じない」


Mr Zuckermann himself, together with a group of public-spirited doctors, controlled the corporation.

*これは上の例と逆に、「公共心」というものがまだ造語の域を出ていないものだよ、という感じがでている

「ザッカーマン氏はボランティア精神のある医師のグループと、この会社を運営していた。」


(8)クオテーション・マーク

The American concept of the Japanese desire for a “free ride” has not been entirely off the mark.

*所謂、で揶揄・非難のニュアンスが感じられる
「日本には『ただ乗り願望』があるというアメリカ人の考え方はあながち的外れというわけでもない。」


“I do hope that we will not find a day in the United States when all of us are spectators except for a few who are out on the field.”

*故・アメリカ大統領、ケネディのことば
「この合衆国において、競技者以外国民がみな観戦者となってしまう日の来たりませんことを切に望みます」


(9)ドット

‘I know, Mr Lampson, I know…’
*あとのことばは容易に想像されるので省いたか、話者が言いよどんだかどちらか。Mrにピリオドがないのは、固有名詞化(例のランプソン氏)または、英国用法のため
「あの、ランプソンさん、実はね…」


(10)語頭の大文字

Forty years he had wielded the brush without getting near enough to touch the hem of his Mistress’s robe.

*mistress(婦人)のmを大文字にして、それとわかる対象(ここでは美の女神)に転化 「この40年、彼は絵筆を振るいつづけてきたが、芸術の女神の裳裾に触れることかなわなかった。」

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