卒業生 井原正彦さん(仮名)

(拙著『翻訳家になろう!』青弓社より抜粋)

[退路を断って英語翻訳の道へ]

私の周りでは技術系で翻訳を志望する人は少ない。しかも皆、男性だ。10年以上前に3か月も拙宅に住み込み下訳作業を手伝ってくれた自衛隊出身のA君は、大手電機メーカのマニュアル部門に派遣社員で5年いて技術内容を習得、付加価値をつけ外資系の通信会社に社員翻訳者として転職、けっこういい収入を得ている。2年前に、仕事が少なくなったのは自分の英語力が足りないからだろうと考え、謙虚にも私の教室に来た現役技術翻訳者であるT大中退のB君は、卒業後また仕事が復活しているようだ。井原もこうした技術翻訳者の例である。
(略)


自分は技術と言葉をつなぐ仕事がしたい、と思ったらもういてもたってもおれなくなった。32才の時退社。上司からは熱心に引き止められ、同僚からは訝られた。1年間、家にこもってテレビ、ラジオ、CD、通信講座、など片っ端から手をつけたが、肝心の文法の成果が上がらない。2年目は少ない貯金を取り崩して、アイディ翻訳塾の門を叩いた。私もこの初期の井原のことをよく覚えている。実は英語の基礎的な力が足らないのではと心配したのだ。他の2名はいずれも職場で英語を駆使していた実力派。それに比べるとどうも見劣りする。彼だけの特訓を始めた。まず5文型を教え、毎日教材の英文すべてにSVOCのしるしをつけて提出させた。これは本当につらい作業だった、と本人も述懐する。だが、さすが技術者、忍耐強くやり遂げた。それからだった。かれの実力がグングン向上していったのは。
(略)


今は周辺分野の勉強もしている。技術ならなんでも、と言われる翻訳者になるのが夢だ。余裕ができたらドイツ語もやってみたい。そして、最終的に、翻訳だけでなく「書き下ろし」もできる翻訳者兼技術ライターになるのが目標。


卒業生の実績
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