2010年4月号(第9回)

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2010年4月号(第9回)
 筆者のような仕事をしていると、よく気軽に英文の是非を尋ねられる。
 ネイティヴスピーカーに聞くほどのことではないが、ちょっと確かめたい、といった類のものが多い。先日も某企業の年史の英訳部分について、日本人校正者のコメントに対する意見を求められた。
(内容は一部変えてある)

その I
日本語原文:
問題は隣の部屋で母と一歳になったばかりの私が寝ていたことである。

英訳文:
The problem was, my mother and I, who had just turned one year old, were sleeping in the next room.

校正者のコメント:
挿入句とすると主語と動詞の形が相違するところがあります。thatを入れ、カンマをとるのはどうですか?→The problem was that my mother and I,

私の意見:
元のままで結構です。SVC(Cは節)で、
that が省略される、又はカンマで代用されることはよくあります。
例:
The fact is (that) I have lost my watch.
(実は時計をなくしたんです)
でも、
that にしたほうが分かりやすそうですね。


そのII
日本語原文:
○○を発明し、△△を創業してから、二十二年がたっていた。

英訳文:
Twenty two years had passed since his invention of ○○ and the establishment of △△.

校正者のコメント:
形容詞用法なのでハイフンを入れて、「Twenty-two years」になるのではないですか?

私の意見:
そうですね。21から99の複合数詞はハイフンで結ぶのが原則です。
例:This is going to be the hottest summer in thirty-six years.
(この夏は36年ぶりの暑さになるようだ)


そのIII
英訳文:
kitchenmobile

校正者のコメント:
間にスペースを入れる方が一般的ではありませんか?

私の意見:
コンテクストが分かりませんが、kitchenmobile という単語はないようです。「移動式食堂」という意味なら mobile kitchen または略した mobile でしょう。「kitchen が移動できる」なら、形容詞
mobile が名詞のあとに来て kitchen mobile でよいです。


そのIV
日本語原文:
八十六歳まで生きて、…

英訳文:
He lived to the age of eighty six and during his life time,

校正者のコメント:
eighty-six とハイフンが必要ではありませんか?

私の意見:
その通りです。前述と同じ理由。
ただし分数の場合、名詞扱いの場合、ハイフンをつけないこともあります。
例:two-thirds or two thirds of a mile


そのV
日本語原文:
シリーズの中の一つ、「少年兵」という作品は、世界に三十万人いるといわれる少年兵をテーマにして悲惨な状況を訴えた…。

英訳文:
One spot in the “××” series was “Child Soldiers.” In this commercial, we tried bring attention to the tragic situation of there being some 300,000 child soldiers throughout the world.

校正者のコメント:
Child Soldiers→そのまま
child soldiers child-soldiers 形容詞的用法でハイフン入れる?

私の意見:
前のは、タイトルなので大文字の CS でよい。後のは、造語的なら child-soliders とするが、「少年兵」は日常使われている言葉なので、child soliders で可。
 
 翻訳者も一流、校正者も英語堪能者だが、ちょっとしたことで迷うこともあるようですね。いや、英語はむずかしい…


 

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