ふだん余り気にならないが考え出すと分らない、そんな英語のちょっとした疑問点をとりあげ、皆さんと解明していこうかと思います。
例えば、こんな感じで…。


Why novels and plays are so often untrue to life because 〜 で、novels and plays を「小説と戯曲」でなく「小説や戯曲」と訳してはだめですか。


and は「…や」「…も」と訳せる場合がある


and 自体には「…や」「…も」といった意味はありません。1 and 2の形では前後が並列しますから「1と2」とするのが基本です。それでも確かに「…も」「…や」と訳したくなることがありますね。それはandのせいでなく (1)挙げられた1、2の重要さ (2)1、2に相当する名詞の概念 (3)日本語のコロケーション (4)そう訳すのが当然という論理、に起因するものです。


(1) 「小説と戯曲」が正確な例証として挙げられたもので他のものを入れる余地がないとか、この二つに限るといった場合は、「小説と戯曲」と正確に訳さねばなりません(医学の論文などを思い浮かべてください)。そうでなく単なる例として読者にイメージを喚起させるために使われているのならば、「小説とか戯曲といった類のもの」という気持ちですから「小説や戯曲」でよいでしょう。


(2) 「小説」「戯曲」といっても作者がどこら辺りまでを範囲に含めているかに(これは文脈と類推による)よります。例えば play は演劇で言えば台本、映画では脚本を意味します。小説、に対応する訳語とすれば、舞台とか芝居、のほうがよいかもしれません。novel にしても長編小説の意味と、短編をも含めた小説全体の意味を併せ持ちます。それらをすべて含めて言おうとすると「…や」を使わざるを得ないでしょう。


(3) 日本語はわざとあいまいにした方が自然に響くことがあり、(1)のようにはっきりそれしか念頭に置かれていない場合でも(例:men and women 男と女→男も女も)「…や」「…も」とするのは翻訳で許される誤差です。


(4) work by day and by night で、「昼と夜に働く」とすると、じゃあ朝は働かないのかと疑問を持たれてしまいます。ここでは明るい時と暗い時の両方、すなわち一日中の比喩、になっているので「昼も夜も働く」とするのがよいでしょう。The store sells vegetables and canned foods. では、文脈により、それしか売っていないと読めるなら「野菜と缶詰を売っている」、主要な販売品の例として出しているのであれば「野菜や缶詰を売っている」となります。


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