フランス式論法について 執筆者:仏DALF資格者

今回は前回の予告通り、フランス式の論法についてです。

「日本語でできないことは、外国語でもできない」と言いますが、私が今までで一番それを痛感したのは、留学中の作文の授業の時でした。起承転結の文は書けても、論理的に主張をまとめるのに足りないものは何なのか?授業で叩き込んだその「型」は今でも活用していて、「外国語で身につけた事を、日本語でも活かす」事もあるのだとありがたい限りです。
料理本もそうですが、初めは手順や各作業の詳細な説明がないと困ってしまいませんか?この論法は、細かいながら初心者に優しい基礎練習です。アメリカ式とも違うらしく、また日本語でも使えますのでご紹介します。

構成は以下の導入・本文・結論の3つに分かれ、各番号に最低一文ずつ入れます。前回のブログがこの例となっていますので、合わせて参考になさって下さい。

<導入>
① 冒頭文
② ①と③のつなぎ
③ 問題提起(テーマ)
④ この後の展開を予告
最も重要な③で、よりインパクトのある疑問文の形でテーマを示します。それに向けて①でなるべく多くの人にとって入りやすい、テーマに関連した時事や一般論から話を始め、②で一気に③までつなげていきます。そして④で本文部分でどう理論を展開するか予告をして、本文に入ります。

<本文>
① 第一の主張
② 第一の主張の例(根拠)
③ 第一の主張の要約+第二の主張の導入(第一と第二のつなぎ)
④ 第二の主張
⑤ 第二の主張の例(根拠)


次に本文は2~3個の主張で構成され、各主張にそれを支える1つ以上の例を付ける、後ろにいく程に重要度・文章量を大きくするというルールに従います。本当に訴えたいものの前座として、その前に反対の事を肯定するのも典型です。また各主張の間には③の円滑に次の主張に入るためのつなぎが入り、ここで順接か逆接か等の関係性がわかります。
そして例の選び方ですが、多くの人が瞬時にわかる、当てはまる例の中で一番インパクトの強いものを良しとします(誰にも当てはまる事、多大な損失や命に関わる事等を数字を交えたりしながら)。日本語では説得力はあるが強すぎない、ほどよい例の方が自然な場合もある気がするのですが、私は授業で何度も例が“C’est pas beau! (美しくない!)”と指摘されました。(仏語の「美しい」の使用範囲と頻度は異常に高い。)

<結論>
① 全体の要約
② 結び(①を言い換えたものか、展開したもの)
最後の結論部分は、特に日本と変わらないですね。①で要約した後、②で展開して閉めます。

フランスでは作文から論文やスピーチまでこの型でつくるそうですが、そこにある「最大数の人に自分の主張を理解させる」という明確な意図と工夫が日本にない点で、時代を超えて磨かれ、受け継がれてきた遺産なのだと思います。日本でも活用できる場面はあると思いますので、どうぞ参考にしてみて下さい。

 

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