英文読解 第8回:Ender’s Game 執筆者:翻訳修行中

スペースオペラと呼ばれるジャンルの映画を見ていると、あまりに荒唐無稽というか、非科学的な面が目立ってしらけることがよくあります。宇宙空間で地上戦闘機のようなアクロバット飛行をしたり(真空なのでほぼ無理)、レーザービーム砲を外したり(レーザーは光速なので照準が合えば当たる)、宇宙船内で光る棒を振り回したりするやつです。とはいえ、スペオペにはある面で最もわくわくさせられるビジュアルイメージがあり、楽しくて夢中にさせてくれる作品が多いのも事実です。

Orson Scott Cardの長編、Ender’s Gameもそのひとつ。荒唐無稽なストーリーながら、アラの目立つ映画と違って抜群に面白く、私のなかでもつねにベスト3の座を占め続けるSF作品です。

【あらすじ】
近未来の地球。異星人Buggerによる二度の侵攻を防いだ人類は、次なる襲撃に備え、世界中から天才児を集めて司令官教育を施していた。Wiggin家の三男であるAndrew(通称Ender)もまた、非凡な才能を認められ、訓練校Battle Schoolへと送られる。彼は生命を持つ者同士が戦争で殺し合うことに強い疑問を抱きながらも、戦士としての能力を発揮し、若き兵士たちの指揮官となっていくのだった。

六歳のEnderがBattle Schoolで成長していく過程はちょっとしたものでした(アメリカ海兵隊では本書がリーダーシップの参考図書として使われているそうです)。続編や姉妹編などシリーズ全体で楽しませてくれますが、まずはこの第一作がおすすめ。使われている英語も平易なので、原書で読んでいただきたい一冊です。

それでは本文より抜粋いたしましょう。主人公Enderと、その姉Valentineによるダイアログです。

①”In the moment when I truly understand my enemy, understand him well enough to defeat him, then in that very moment I also love him. I think it’s impossible to really understand somebody, what they want, what they believe, and not love them the way they love themselves. And then, in that very moment when I love them -”
②”You beat them.” For a moment she was not afraid of his understanding.
③”No, you don’t understand. I destroy them. I make it impossible for them to ever hurt me again. I grind them and grind them until they don’t exist.”

①truly (1)「(強意的)実に、十分に」(2)「正しく、偽りなく」。ここでは(1)。
2文目のandは対照。「しかし」、「一方で」、「それでいて」

②defeatとbeatに大きな違いはなく、win「(試合などに)勝つ」より相手を打ち負かすことに力点があります。
「つかのま、彼女は彼の理解を恐れなかった」ではぎこちないので、訳文では少し補足しました。

③destroy : To destroy someone means to ruin their life or to make their situation impossible to bear.(CADE)
ever = at any time

【試訳】
①「自分の敵を十分に、打ち負かせるほど理解したとき、まさにそのとき、ぼくは相手を愛しもする。誰かを深く理解し、求めるものや信じるものを知りながら、その人たちが自分自身を愛するように愛さないなんて不可能だと思うんだ。そして、愛した瞬間、ぼくは彼らを──」
②「打ち負かすのね」つかのま、ヴァレンタインはエンダーから理解されることを恐れなかった。
③「いや、ちがう。ぼくは彼らを滅ぼすんだ。自分が二度と傷つけられないようにする。跡形もなくなるまで、彼らを何度も踏みつぶすんだ」

【参考文献】
Orson Scott Card “Ender’s Game”(1985、Tor Books)
ジーニアス英和大辞典
ランダムハウス英和大辞典
コウビルド英英辞典(CADE)

 

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