『英文解釈教室』を読み終えて「受講生編」 執筆者:進学高英語教諭

『英文解釈教室』2.3 例題 の英文
Partly because they would like to have a fixed standard to settle all questions of usage, they come to believe that one exists and operates, and constantly repeat judgments and rules without examining the basis for them.

今回は「come to do」という熟語表現に焦点を当ててみます。
ジーニアス英和大辞典では「<人などが>・・・するようになる≪◆doはknow、loveなどの
状態動詞≫」と書かれていますが、
①「come」を「become」に言い換えていうことはできないのか、
②「come to 」を付加することの有用性とはなにか、
③なぜ「~するようになる」という意味になるのか、
という三点について考察してみましょう。

①    「come」を「become」に言い換えていうことはできないのか。

(1)She came to know him aboard the ship.(ジーニアス英和大辞典) 船の中で彼と知り合った。

『「~になる」と意味の単語は何か』と高校生に聞いてみるとすぐに返ってくる単語の代表格はbecomeです。
そのため中にはcome to doをbecome to doで言い換えられるのではないか、と質問してくる生徒がいます。
しかしこの例文においてcameをbecameに言い換えることはできません。
そこでまずbecomeの語源に着目してみましょう。
becomeの語源はbe+cuman(=to come)から成る古英語が元になっています(英語語義語源辞典)。
つまりbecomeという単語にはすでにtoという前置詞の意味が内包されていることになるのです。
そのためcomeに代わってbecomeを使用すると、toの意味が重複されることになるためcome to doはbecome to doに言い換えることはできないと考えられます。

②    なぜ「~するようになる」という意味になるのか

このことについて考える前にまずcomeとtoそれぞれのコアミーニングについて考えてみましょう。
comeのコアは「視点が置かれているところに移動する」です。
toのコアはX to Yという形式において「XとYが向かいあっている」であり、そこから移動を表す動詞の場合には「方向・移動」といった意味合いが生まれてきます。
以上二つのことを考え合わせてみればわかるようにcome to doは「to以下の状態の方向に向かって移動する」というところから、「~するようになる」という意味が出てきたと考えられます。
(1)の例文では「彼女が彼のことを知るという状態へと向かって移動した」というところから、「彼と知り合った」という解釈が生まれたのではないでしょうか。

③    「come to 」を付加することの有用性とはなにか。

(2)In time she came to love him.(OALD)
ついに彼女は彼を愛するようになった。

come to という熟語はtoの後ろに状態動詞を付加することになっています。
上記の例文でloveという動詞は「ある人を愛している」という意味を表す状態動詞です。
状態動詞とはその字義通りある一定状態を表す時に使う動詞です。
そのため動作動詞と違ってその状態にいたる成り行きを表すことはできません。
そこでその状態に至るまでの過程や推移を表すためにcome to という移動を表す動詞と共起させている、と考えられます。
(2)では、長年彼女のことを想い続けてきた彼の気持ちがようやく彼女に伝わったのでしょうか。
ようやく彼女の方も彼のことを愛するようになったようですね
。私にもいつかcome to loveされる日が来てもらいたいですね(笑)

参考文献
田中茂範・cocone (2011) 『英語の発想と基本語力をイメージで身に付ける本』コスモピア,東京.

小島義郎・岸暁・増田秀夫・高野嘉明 (2010)『英語語義語源辞典』三省堂, 東京.

田中茂範 (2008)『話せる英単語ネットワーク[前置詞編]』アルク, 東京.

江川泰一郎(1991)『英文法解説』金子書房, 東京.

辞書
小西友七・南出康世 編 (2001)『ジーニアス英和大辞典』大修館書店, 東京.

オックスフォード大学出版局 編 (2010)『オックスフォード 現代英英辞典 第8 版』旺文社, 東京

執筆者:進学高英語教諭

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