信用が化体する 執筆者:鯛焼き

 今月は商標のお話をすることにします。
 商標とは、ざっくり言うと、商品を購入するときの目印のことです。
 商標には商標法という法律があります。
 その法律の第1条には、「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」と、例によって、法律らしく、堅苦しい感じで、その目的が書かれています。要するに、「ここには、商標の保護について、いろいろなことが書いてあるので、それなりに覚悟して読んでね。」というようなことを言っているわけです。それで、「読むときには、業界や消費者のためってことを、忘れちゃだめだよ。」とも。
 これだけではないですよね。ほかにも書かれていますよね。間に。「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り」と。
 実は、商標法が保護しているのは、商標じゃなくて、この「業務上の信用」なんだという説があるんです。商標には、業務上の信用が化体して、商標法が保護しているのは、この信用なんだと。信用が商標に化体するんです。商標には。
 「化体する」(かたいする)なんていう言葉は、普通に生活をしていたら、ほぼ一生涯、見ることがないんじゃないかと思います(私の場合だけかも知れませんが。)。広辞苑には「化体:形をかえて他のものになること。・・・密接な結合関係を表現する語」とあります。なんとなく、イメージはわかりますよね。
 業務上の信用が化体した商標の例として、雪印という商標をみてみましょう。
 1925年創業の雪印乳業は、雪の結晶の中に北海道を象徴する北極星を組み合わせた、雪印の上に、営々とその信用を積み重ねてきました。ところが、2002年の雪印牛肉偽装事件によって、その信用は一瞬にしてなくなってしましました。雪印は汚れてしまったのです。そして、スーパーマーケットの食品棚から雪印は消えました。雪印乳業は、雪印の化体した業務上の信用を維持することができなかったのです。こんなこともあるわけです。
 ところで、「化体する」って、英語ではなんていうのだろうか。

以上