枯れるとかなしいお花たち 執筆者:中村優子

 今年の2月頃に通販で鉢と土そして苗を買い、ベランダで草や花を育てはじめました。購入したのは、ユーカリ(数センチの小さいもの)、タナセタム(小さいマーガレットのような白い花が咲く)、プラティア(エクボソウと呼ばれる、星型の白い花が咲く)、タイム(ハイランドクリームという種類の、匍匐型の斑入りの葉のもの)の4種です。これらすべて、園芸初心者にも育てやすいという評判があるものです。また苗を買ったので当然ながらすでに発芽しているものが届いたわけで、鉢に植え替えたたあとはただ水をやっていればいいだけでした。
 草はほんとうにかわいく、特にタイムが私のお気に入りでした。ひとつひとつの葉が小さく、でもくっきりとした輪郭をもち、聡明で意思の強そうな、そんな印象を私に与えていました。すくすくと育ち、昨日はなかった新しい芽が今日の朝には見つけられる、それを観察するのが毎日楽しく、まるでペットのようにいつくしんで、一日に何度も何度も葉を触り、鉢を撫でていました。
 タイムはじめじめしたところを嫌うらしく、しかし横に広がるように伸びるので絡まりやすく水気も逃げないので、気温が上がりだしたころから少し弱り始めました。根本にある葉が茶色く、パサパサになってしまうのです。そこで刈り込みをすることにしました。先端部分の若い葉は緑でみずみずしいのですが、根本が枯れているのでやむを得ず、ばしばしと枯れているところから切っていきました。これが間違いでした。この後全然新しい芽が出てくれることはなくなり、今では鉢には一本の小さい葉のない枝が残るだけで、なにもなくなってしまいました。それでも一度、小さい小さい新しい芽(1mm未満)が現れて、とてもうれしく、あまりのうれしさにそれを触り続けていたら、折れてしまい吹き飛ばされ、このときほど自らの愚かさをのろったことはありません。
 他の種類のものは、ばかな私に愛でられないという幸運があったため、タイムより長く健やかに育ち、ユーカリ以外は4月・5月には花も無事咲かせました。
 さて先月の6月末、私は日本選手権という陸上の大会で現地に行ったため、1週間弱家を留守にしていました。水やりは同居人に頼んでありました。帰宅して開口一番、「水やりちゃんとした?」と訊くと、「してたけど、プラティアがもう枯れてる」とのこと。見るとたしかに、葉は茶色く、茎もしなびており、そしてなによりショックなのは、土からきのこがはえている! 同居人は「新しいのを買えばいいじゃん」と簡単に言うのですが、これまで成長を見守ってきたかわいい子なので、私にとっては代替不可能な存在なのです。枯れたところは切って、根もほぐしましたが、復活してくれるでしょうか。梅雨の時期ですのでユーカリも元気がなく、心配です。