祝日法 執筆者:プレーイングマネージャー

 私は「祝日法」というものの存在を知りませんでした。皆さんはご存知でしたか?
前日と翌日の両方を「国民の休日」に挟まれた平日は休日となる、というオセロのような法律です。
 今年は5月1日に、今上天皇陛下が退位なされ、皇太子さまが新天皇にご即位されるため、同日は祝日に制定されました。そして、その「祝日法」の存在により、昭和の日(4月29日)、および憲法記念日(5月3日)に挟まれた4月30日と5月2日も自動的に休日となるため、このゴールデンウィークは10連休となることが決まりました。
 昨年12月の衆議院および参議院の内閣委員会附帯決議に、政府は長期間にわたる休日に伴い、国民生活に支障を来すことのないよう、以下の事項に万全を期すべきである、と7項目列挙されています。特に自分に関係のある項目を抜粋して下記に記載しました。原文どおりではなく、多少表現を変更している部分もあります。

②医療機関の長期休業により患者治療に不利益とならぬよう、医療機関は休業日を周知徹底し、休日における医療機関相互の連携協力体制を確保する
⑤休日出勤となる労働者が長時間労働とならぬよう、また休日の増加が時給制・日給制の労働者の収入源を招かぬよう各事業主が適切に対処する
⑥保育施設を利用する労働者の子どもの保育が確保されるように事業主はその労働者の業務調整をし、また複数の保育施設で連携が確保されるようにする

 そもそも暦どおりに休める職種ではないので、別に祝日に勤務することには異論は全くありません。むしろ、その分定時に対処していかなければならない患者の治療が先送りになり患者の不利益になりますし、大型連休となると、その期間に緊急入院となる患者さんの数も30-40名になることも決して稀でなく、その後の大混乱を想像すると、10連休とならずに途中に出勤日があることはむしろ歓迎ですらあります。
 問題は、大前提として、10日連続した休日であり、本来は休むべき日に業務命令で出勤させる必要があるということです。クリニックなどの入院設備を持たないところは、暦どおり休業するところが多いでしょう。ただし、月30日のうち10日間、さらに他の週の土日も含めて、ひと月の半分も休業するとなると、収入減という切実な問題に直面します。看護師、事務職員などを月固定給で雇用している場合には非常に痛手です。入院患者のいる病院においては、多くは職員が当直体制をとっています。医師については病院内に当直しているところが多いですが、人員の少ない診療科では院外からオンコール対応の医師が呼ばれて診療するシステムをとるところも多く存在します。病院には、医師以外に、看護師、検査技師、放射線技師、栄養科、薬剤師、事務職員など、非常に多くの職員がおり、休日にはそれぞれが当直体制を敷いて病院業務を支えています。休日は最低限のパフォーマンスは保ってはいるものの、かなり限定的な人員のなかで業務を行っているのが実情です。もし、休日であっても、平日と同様のパフォーマンスを維持すべく人員を確保しようとするならば、休日手当をそれらの職員すべてに支払う必要があります。
 現在、当院を含め各病院では、この連休中、暦どおりすべて休むのか、もしくは通常営業日を数日設けるのか、という調整が進められていますが、平日ではない以上、どの程度の職員を配置するかについて、各病院、各部署間で足並みが揃わず、混乱が予想されています。
政府としては、このように決めたからあとは現場でよろしく、というお考えのようですが、
⑤は、政府がそもそも休日と制定している以上、どうしようもないことです。対処しようのないことを対処しろ、と現場に丸投げしているように思えてなりません。
また、⑥の保育も切実な問題です。夫婦共働きが当たり前になった現在、当院にも子育て中のママさん職員が大勢おります。この10連休で幼稚園、保育園がすべてお休みになってしまうがどうしたらいいのか、院内の保育所で臨時に保育してもらうことはできないのか、といった悲痛な訴えをよく耳にします。保育施設の連携などそう簡単には行かないですので、結局は職員がお休みをとって自宅で子どもの面倒をみるしかなさそうです。
 天皇のご即位に際し、奉祝の意を表したいというのは全国民共通して持っている感情ですので、5月1日が特別にお休みになるのは私も賛成です。しかし、法律だから例外を設けることはできないのかも知れませんが、4月30日と5月2日は「祝日法」を特例として適用せず、連休にしたい人のみ有給を使って休む、仕事をしたい人は仕事をするという運用はできなかったのか、と今更ながら思っています。