野球の話題 その4 執筆者:プレーイングマネージャー

 今年のプロ野球はセ・リーグは広島の独走で幕を閉じました。しかも球団創設以来のリーグ3連覇という快挙でした。そしてその裏で今シーズン限りで巨人の高橋由伸監督、阪神の金本知憲監督の辞任が発表されました。
 私自身、このブログでたびたび野球の話題を取り上げていますが、実際のところ、昔ほど野球を熱心には見ておらず、あぁ広島にマジックナンバーが点灯したんだな、とかたまに気にする程度になっていました。
 現在の巨人は選手層がかなり高齢化しており、今シーズン限りで杉内投手、山口(鉄)投手、西村健太朗投手といった一時代を築いた選手が軒並み引退しました。一昨年に村田修一選手が戦力外になってからは打線の軸となる日本人選手が不在の状況でした。そういった中で高橋監督は新4番に生え抜きの岡本和真選手を大抜擢して、彼も期待に応えてほぼフルシーズン出場しチームトップの33本塁打を放つなど、選手育成面で大きな実績をあげました。若手選手を育てながら、勝ち負けにもこだわらなければならないという苦しい状況でしたが、とくに今年は故障者が多く、規定投球回数(チーム試合数と同数)を超えて投げている、つまりシーズン通して安定して出場している投手がたった2人という状況下にあって、レギュラーシーズン3位は評価されてよいと思います。しかも、投手部門三冠を達成し、沢村賞を受賞した菅野投手は、14日のクライマックスシリーズでノーヒットノーランという圧巻のピッチングをみせました。
 ただ、球界の盟主を自認する巨人にあっては自チームが3年間優勝から遠ざかっていることよりも、広島の3連覇を許したことが看過できない状況に違いなく、高橋監督は自らの意思とはいえ監督を辞任する決断をしました。他のチームに3連覇を許したことは巨人の創設以来はじめてのことでした。
 高橋監督は長嶋終身名誉監督と同じように、選手を引退してすぐに監督に就任しました。高橋監督は、まだ選手を続ける意思があったにも関わらず、球団の強い要請により泣く泣く現役を引退し、監督に就任しました。これが注目度の低い他のチームならば、元南海の野村克也氏、元ヤクルトの古田敦也氏、元中日の谷繁元信氏のように、選手兼任監督(プレーイングマネージャー)で現役を続行することも可能だったでしょうが、巨人ではそれは許されませんでした。自分で引き際を決めることができず、球団からクビを言い渡されて第二の人生を踏み出さなければならない選手がほとんどの中、自ら「引退」を決められるのはほんの一握りの成功した選手のみです。それができる立場だった高橋監督はいろいろな思いを胸に秘めて監督要請を受諾したにも関わらず、思ったような野球ができず非常に歯がゆい思いだったことでしょう。球団によって人生を翻弄されている様が他人事ながらとても不幸に思えてなりません。
 今月14日のクライマックスシリーズは3位だった巨人が2位のヤクルトに連勝し、セカンドステージに駒を進めました。しかも、第2戦の菅野投手は大舞台でノーヒットノーランをやってのけるという圧巻の投球をみせました。レギュラーシーズンも沢村賞を受賞するなど大活躍の年でしたが、その活躍通りの完璧な投球でした。
 選手が口々に「一日でも長く高橋監督と野球がしたい」と言い、チーム内の雰囲気もクライマックスシリーズ突破、日本一に向かって一丸となっている様子が伺えます。
ただ、その流れに水を差すようですが、そもそもこのクライマックスシリーズに6チーム中3位までが無条件に出場できるという仕組みが以前からおかしいと個人的に思っています。140試合以上を戦って優勝したチームでもこの短期決戦で敗退する可能性があり、実際に2010年にレギュラーシーズン3位だった千葉ロッテがその後クライマックスシリーズ、日本シリーズとも勝ち抜き、日本一になった例があります(史上最大の下剋上と評されています)。しかし、今年の巨人は1位の広島から13.5ゲーム差で、しかも67勝71敗と負け越しています。先に述べたロッテは首位とたった2.5ゲーム差でしたのでそのような熱戦を演出できたと思いますが、仮に次の広島と巨人の戦いで巨人が勝ち進むことがあろうものなら、1年間かけて公式戦を行っている意味が無くなってしまいます。何でもアメリカのメジャーリーグにならう必要はありませんが、本場のアメリカでは、各地区の優勝チーム同士が戦って世界一を決めるシステムで、その中にワイルドカードといって優勝を逃したものの、勝率の最上位の球団が1球団そのトーナメントに出場できる枠がありますが、通常は2位チームであり、ましてや負け越したチームがそこに紛れ込むことはありえません。
優勝が早々と決まってしまった場合は、消化試合になってしまい興行収入が伸びないという問題がありましたので、最後の最後まで優勝の行方がわからないことは経済の活性化からするとよい点でしょうが、そもそも負け越したチームには出場権がないとか、1位のチームから何ゲーム差まででないと、クライマックスシリーズには進ませないとかしないと、興行のためにだらだら長引かせているように思えて少し白けてしまいます。
 ただ、この劣勢を跳ね返して高橋監督が勝ち進めば、日本プロ野球史上最高の美談になることは間違いありません。広島には実力差を見せつけて順当に勝ち進んで欲しいという気持ちがある反面、高橋監督の奇跡にもちょっとだけ期待して今後の戦況を見守りたいと思います。