G.オーウェルの「ライオンと一角獣」 執筆者:流浪の会計士

 今月も英文精読ゼミで読んだテキストを話題にしたいと思います。今回取り上げるのは、G.オーウェルの「ライオンと一角獣―社会主義とイギリス精神」という評論です。翻訳は、平凡社ライブラリー「オーウェル評論集4―ライオンと一角獣」に収められています。ゼミでは、その第一部「イギリス、君のイギリス」の一部を8つのパートに分けて読みました。
 この作品は私にとって色々な意味でとても印象に残っています。
 ゼミを正式に受講する前に授業見学を申し込んだのですが、見学に当たっては、受講生と同様、事前に課題文を訳して柴田先生に提出することになっていました。そのときの課題文がこれだったのです。課題文は、イギリス国教会のこと、イギリス文明の温和さ、イギリス人の戦争と軍国主義嫌いといった、イギリス人の国民性について述べた部分で、とても興味深いものでした。が、久しぶりにまとまった英文を読んだ私にとっては、「これから毎回こんなに難しいのを訳していくのは大変だな」という思いもありました。今後のゼミに対する期待と不安が入り混じった気分になったことを覚えています。(もっとも受講してからは、不安よりも楽しみの方が大きかったですが。)
 それから約9か月後、ゼミで再びこの作品を読む機会が巡ってきました。授業見学のときは訳すだけで精一杯だったのですが、このときは比較的余裕もあったので、全文を読んでみようと思い、平凡社ライブラリーを購入しました。そうしたらびっくり。ゼミで読んだのは日本語にして5ページ半に相当する量の文章だったのですが、全体は100ページを超えるとても長いものだったのです。
 また、ゼミで読んだのは、先に書いたとおりイギリス人の国民性について述べた箇所だったのですが、全体としては、第二次世界大戦の真っ最中に社会主義の実現を訴える内容であることを知り、さらにびっくり。実を言うと、オーウェルといえば「一九八四年」や「動物農場」で有名な作家といった程度の知識しかなく、このような政治的思想を持った人だとは知らなかったのです。まったくもって恥ずかしい限り。
 このときをきっかけにして、オーウェルについて調べたり、イギリスの歴史や文化についての本を読んだり、イギリス人画家ターナーの展覧会や首相チャーチルの映画を見たりするなどして、イギリスにも興味・関心を持つようになりました。いずれイギリス旅行もしてみたいと思います。