翻訳の勉強 執筆者 日々わくわく子(時々翻訳者)

読書履歴2017(その2)

去年の今頃偶然に、英国の女流作家ジェーン・オースティンの小説「ノーサンガー・アビー」について初めて聞き知った。オースティンと言えば「高慢と偏見」しか知らなかったので、他にも作品があるなんてと驚いた(オースティンファンの方に怒られますね)。何とも聞きなれないタイトル。そもそも「ノーサンガー・アビーを読む」という講座の案内を目にして、好奇心で受講してみようと思ったのだ。講座が始まる前に本を買って読んでみることにした。「高慢と偏見」は大分前に読んだのだが、「ノーサンガー」もそれとほぼ似たような、イギリスの19世紀の世界が広がって行く。貴族ではないが中産階級のある家族の中で起こる人間模様が描かれる。一人の美しくて魅力的な頭の良い女性が主人公で、彼女とその家族、友人達をめぐる話が面白おかしく展開して行く。最後は登場人物全てがハッピーエンドで気持ちよく終わるのだが、シリアス過ぎず、軽すぎない内容だった。オースティンにはまだまだ他にも小説があることを知って、引き続き「エマ」、「説得」を読み、もう一度久々に「高慢と偏見」を読み直した(注意:もちろん全て和訳で読んだのですが)。「ノーサンガー」も含めて、各作品は主人公の女性の恋のエピソードが中心となっている。相手の男性がそれぞれ素敵なキャラクター(いわゆるイケメン)なので、面白さが倍加し、楽しく味わって読んだ。
そして、ちょうどその頃、あるきっかけでイギリス旅行の話が起きた。ヨーロッパにはずっと旅してないので迷ったのだが、ロンドン近郊に住んでいるアメリカ人の友人の「是非いらっしゃいよ!」の一言で行くことに決めた。そして、その友人がジェーン・オースティンゆかりの地を車で回ってくれると言う。偶然が偶然を呼んだとはこのことなのか。
オースティンはイギリス南部の出身で、彼女が晩年に作品を書いたハンプシャー州チョートンの家(今は記念館になっている)やバース市のジェーン・オースティン・センターと言う展示館がある。私達は其処此処をゆっくりと巡り、オースティンが埋葬されたウィンチェスター大聖堂も訪ねることができた。すっかりジェーン・オースティン漬けの旅となった。オースティンが作品を執筆した机と椅子、実際に使用したと言うレースのケープ等を後から思いだすと楽しくなって来る。そう言えば昨年はオースティン没後200周年で、それを記念してイギリスの10ポンド紙幣に彼女の肖像入りが加えられた。私の旅行中に新紙幣はお目にかかれなかったが、紙幣が発行されるなんて、イギリス国民に親しまれている所以があるのだろう。
日本に戻ってから、マイオースティン・ブームは冷めることなく、「高慢と偏見」のBBCのDVDフィルムを見たり、未読だった「マンスフィールドパーク」と「分別と多感」を読んだりした。肝心の上記の「ノーサンガー・アビーを読む」講座は,早目に申し込んだのに、何と体調を崩して行くことができなかった。オースティン作品を全て翻訳されている中野康司先生の講座で楽しみにしていたのにと残念に思っていたら、今年の春から同先生の講座「エマ」が始まった。今その講座に通って、中野先生の講義を拝聴している。学生時代以来文学の講義は久しぶりだが、このように味わって読むのだなと昔よりも興味を持が湧いているような気がする。また、このブログで「エマ」について書くかもしれない。とりあえず、今日はここまで。