丁酉の年にリニューアルされた「翻訳研究會」のご紹介 執筆者:南條 涼子(翻訳ジム修了生)

早いもので2017年も残すところ20日ばかりとなり、寒さも一層厳しくなってきましたね。この時期になると年賀状の用意を始め、その度に「えーっと、来年の干支(えと)は何だっけ」などと言いながら確認をするのですが、自分が「干支」というものを正しく理解できていなかったことに、先日やっと気付きました。
きっかけは、福島県の会津若松城(通称:鶴ヶ城)で戊辰戦争についての展示を見たことなのですが、恥ずかしながらそれまで「戊辰」が干支の1つであることを知らなかったのです。そして干支が「十干(天干)」と「十二支」の組合せにより60年の周期に分けられる、ということも初めて知りました。(60歳のことを還暦というのも、干支が一巡するという意から来ているそうですね。)

「十干」は「・乙・・丁・・己・・辛・・癸」の10種類から、「十二支」はお馴染みの「・丑・・卯・・巳・・未・・酉・・亥」の12種類からなっており、それぞれ陰陽に2分されています(陽:赤字、陰:黒字)。
組合せは、10種×12種で120通りなのでは、と疑問に思うところですが、十干と十二支を表のように頭から順に並べて組み合わせると、60で一巡することが分かります。
12と10の最小公倍数が60だから、と言ってしまえばそれまでですが、陽同士・陰同士の組合せだけが網羅されているのは偶然ではないかもしれません。

一覧をよく見てみると、「甲子」園、「壬申」の乱、「甲午」農民戦争、「戊戌」の政変、「辛亥」革命など、知っている単語も沢山あり、もっと昔に知っていたら歴史の年号も覚えやすかったかもしれないのにと悔やまれます。また43番目の「丙午(ひのえうま)」は、その年に生まれた女性は気性が激しく夫の命を縮める、という迷信ゆえに、出生率がガクッと下がることでよく知られていますね。ちなみに今年2017年は34番目の「丁酉(ひのととり)」。「酉」という文字にはあらゆる機が熟すという意味があり、学問や商売の成果が望まれるとのことでしたが、いかがだったでしょうか。

学問の成果ということであれば、「英文教室」の卒業生・在籍生で構成される「柴田耕太郎門下生の会」にとっては、確かにとても実りのある1年でした。まず7月に2012年から始まった「月例翻訳研究会」が50回の節目を迎え、盛況のうちに幕を閉じました。そして、これまでの研究会で得た成果をもとに、 技術研鑽・情報共有・仕事獲得につなげる場を作るべく会のリニューアルが始まり、11月からは「翻訳研究會」と名を変えて再出発。4つの部会に分かれ、講義形式も従来の1回完結型でなく全3~5回の連続講義となって始動しております。
このリニューアルを機に私も幹事の役目を拝命し、現在微力ながら講義の企画・運営を行っております。ここからは門下生向けの内容になってしまい恐縮ですが、「具体的にどのような講義が行われているの?」と聞かれることがありましたので、今年度の講義について簡単にご紹介したいと思います。詳細については、別途幹事からお送りしているメールをご参照ください。

●翻訳出版 第1講義 全4回(11/18、12/2、1/6、1/20)
Jim Collins氏のベストセラー” Built to Last”(邦題:ビジョナリー・カンパニー、山岡洋一氏訳)をテキストに、受講生の訳文や疑問点を踏まえ、編集者ならではの視点で解説いただいております。受講者は計10名(定員は9名ですが、申込者が10名だったため今回は特別に全員参加となりました)。毎回10ページ前後の事前課題があり、決して楽な講義ではありませんが、受講生の皆さまはお忙しい中時間をやり繰りし、一生懸命取り組んでおられます。また「専門的な内容で興味深い」「出版現場でのビジネス感覚の一端に触れられたのが新鮮」といった感想も寄せられています。
来年度以降も編集者の方にご講義いただく予定です。プロの方に自分の訳を見てもらえる有難い機会ですので、どうぞ奮ってご参加ください。

●翻訳理論 第1講義 全4回(12/16、1/6、1/20)※12/16は2コマ連続の講義
12/16は、2コマ連続でコーラン(アラビア語)の翻訳を体験できます。テキストはローマナイズを用いますが、アラビア文字にも触れられます。辞書の読み方など翻訳の実際を体験し、何種類かの和訳や英訳と比較検討しながら進めます。講師の先生からは「ニヤニヤとただ聞いて下さり、時々『難しくてもう無理』とか言って下さるだけで十分です」という温かいお言葉も頂戴しております。本講義は定員がなく、満席にならない限りはご参加いただけますので、どうぞお気軽にお申込み下さい(講義開始直前までメールにて受け付けております)。
1/6、1/20は、「イスラム文化と西洋」という題目で連続講義を賜ります。こちらについては詳細が分かり次第、改めて門下生の皆さまへご連絡します。

今年度開講の講義は以上の2つです。来年度以降についての詳細は未定ですが、4月から開講できるよう準備を進めていきます。
2018年の干支は「戊戌(つちのえいぬ)」。「戌」には成熟を終えて枯れるという意味がありますが、新たな飛躍に向けて準備するのに最適な年、という解釈もできます。門下生の会にとっても皆さまにとっても、今後の発展につながる有意義な1年になることと確信しております。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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