『英文解釈教室』1.1.2 の英文 執筆者:進学校英語教員

Anyone having difficulty in assembling the machine may have the advice of our experts.

(その機械が組み立てられない方には、どなたにでも当社の専門家がお教えいたします。)

 

今月は上記の英文を通してsomeとanyについての知識を深めていきましょう。中学一年の段階で習う基本単語ですが、果たして皆さんはsomeとanyについて正確の知識を有しているのでしょうか。

中学生の時に「肯定文のsomeは疑問文・否定文ではanyに変わる」という様に教わるため、英語学習者の中にはsomeとanyに関して誤った理解をし続けている人もいると思います。

先日1.1.2の英文を生徒に見せた所、「この英文は肯定文なのにanyが使われているので間違った英文ではないか」といった質問を受けました。

 

そこでまず以下の例文をご覧下さい。

 

(1) I don’t know some of my classmates.

(私はクラスメートのうち、何人かは知りません。)           [英文法総覧]

 

(2) Will you have some breakfast?

(朝食を召し上がりますか。)             [コミュニケーションの英語学]

 

(3) Chose any card.

(どのカードでもいいから選びなさい。)              [一億人の英文法]

 

(1)~(3)の英文を見て分かるように、someが否定文や疑問文と共に用いることも、anyが肯定文の中に現れることも可能なのです。このsomeとanyの使い分けがしっかりできるようになるためには、両者の本質を知る必要があります。

実はsomeとは「(具体的にはわからない、または述べていないが)存在することを前提」(教えてほしかったこんな英語)としており、anyとは「(数量)があるかないかわかならい状況で、数量がある場合にはどれを選んでも良い」という自由選択制(謎解きの英文法、文法が分かれば英語がわかる)を本質としています。

このような違いがあるために肯定文ではsomeが多く用いられ否定文や疑問文ではanyが使われることが多くなるのであって、「肯定文だからsomeが、疑問文・否定文だからanyという様になるわけではありません。

 

ここでsomeとanyの違いをいくつかの例文を通じて理解してみましょう。例えば目の前の困っている人に対して以下のように発話する場合、someとanyを使った英文ではどのように意味が変わってくるでしょうか。

 

(4) If you need [ some/any ] help, let me know.

[現代英文法講義]

 

someを用いると話者は「あなたには助けが必要である」ことを前提として相手の肯定の答えを予想しています。他方、anyを使った英文では「相手が援助を必要としているかどうかは不明」であることを示しています。

 

では次の場合はどうでしょうか。「試験はどうだった?」と聞かれた際に相手が以下のように答えた場合、両者の間には意味的にどのような相違があるでしょうか。

 

(5) I didn’t understand some/any of the questions.

[スーパーレベルパーフェクト英文法]

 

some of the questionsと答えた場合には「わからない問題が存在した」、つまり「わかった問題もあったが、わからない問題もあった」という意味になります。一方で、any of the questionと答えた場合には「どの問題を選んでもわからなかった」、言い換えれば「全くわからなかった」という意味になるのです。

 

疑問文や条件節においてもsomeとanyは生じることが可能ですが、両者の間には大変興味深い意味の違いが生じます。

 

(6)  a. Didn’t you publish any poetry that year?

(その年は詩を少しも発表しなかったんじゃありませんか。)    [現代英文法講義]

 

b. Didn’t you publish some poetry that year?

(その年は、少しは詩を発表したんじゃありませんか。)      [現代英文法講義]

 

上記の(6a)の文では「どんな詩も」、(6b)の文では「その年に発表した詩はある」、というようにそれぞれanyとsomeとの本質的な意味がしっかりと反映されています。(6a)の文では[ = I suppose you didn’t publish any poetry that year. ]という内容を、(6b)の文では、[ = I suppose you published some poetry that year. ]ということを話者が前提としていると言えるでしょう。

 

(7)  a. If you have some/*any spinach, I’ll give you $10.

(ほうれんそうを食べたら、10ドルあげますよ)

 

b. If you eat any/*some candy, I’ll whip you.

(キャンディを少しでも食べたら、むちでうちますよ)       [現代英文法講義]

 

(7a)の文では「ほうれんそうを食べることを条件として10ドルあげる」と言っています。ほうれんそうを食べるためにはその存在がなければそもそも食すことができないためanyではなくsomeを使用した方が適切と言えるかもしれません。つまり(7a)では[ = I hope you eat some spinach ]というように話者が聞き手に対して肯定の期待をしていると言えます。

一方で(7b)ではキャンディの存在の有無を問題にしているのではありません。「どんなキャンディあろうとキャンディを食べたらむちをうつ」という具合にキャンディの選択自由性を問題にしていると考えられます。よってここの文脈ではsomeよりもanyの方が適切言えるかもしれません。

 

しかし上記の解釈はあくまでも自然な会話場面や常識的な判断に基づくものであるため、状況次第では(7a)でanyを使うことも、(7b)においてsomeを使うことも可能であると言えるでしょう。

 

以上で今月のsomeとanyの文法授業は終了いたします。

someとanyの本質を押さえた皆さんはこれでまた一歩英語母語話者の語感に近づきました。

英文を書く際、話す際には是非とも今日学習したことを生かして発信してみてくださいね。

 

柴田耕太郎「英文教室」HPはこちら