俳句 執筆者:片山由美子(弁護士)

今年の4月から、仕事上の関係で句会に参加することになりました。仕事上の関係で、と思っていましたが、見事にはまってしまいました。句会は月1回あり、毎回5句提出します。句会が終わると、次の句会に向けて句を作らなければならないので、常に句になりそうな情景を探している感じです。ちょっと美しい風景を見たり、心が動く事柄に触れると、それを俳句にしようと言葉に置き換えて反芻するので、対象を何度も味わえます。
句会の先生によると、俳句は景色を読むものであって、感情を直接表現するものではないそうです。それでも上手な人の俳句には、短い風景描写の奥に人間的な心の動きがあふれています。詠われていない色彩や温度までも感じられます。言葉というものは、つくづく不思議なものだと思います。
法務翻訳を始めたきっかけややりがいを質問されることが多いのですが、「ただ翻訳するのが楽しくて好きなのです。」と答えるしかなく、いつも質問する方に申し訳ないなぁと思っていました。俳句をはじめて、私は言葉を扱っているのがとにかく好きなのだなと自覚しました。法務翻訳は逐語的に言葉を置き換えて解釈の余地を限りなく排除していくものであり、一方俳句は表現を限りなく排除して余韻を膨らませるものであり、両者の言葉の使い方は真逆ですが、それでも両方とも楽しいことに変わりはありません。俳句は、自分と言葉の関わり方を見直させてくれるとても貴重なツールになっています。

 

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